永くて遠い、瞬きする間

 

個展「永くて遠い、瞬きする間」
会場:FINCH ARTS
撮影:前谷 開

-5月に始まるこの展覧会について考えていた3月のある日、「五月のそよ風をゼリーにして持つて来て下さい」という立原道造の言葉を思い出した。1939年3月、24歳の若さで亡くなる1週間前に、見舞いに来た友人に言ったという。「非常に美しくておいしく口の中に入れるとすつととけてしまふ青い星のやうなものを食べたいのです」と続く。その感覚は詩人でなくとも、何かしらの表現を行う人間には共感できるものだろう。あるいは人類に共通するもっと普遍的なものかもしれない。夭折した詩人の言葉であるから、そこには、より一層のはかなさと永遠の感覚が入り混じる。思えば自分のこれまでの作品も、日常におけるすぐに消えてしまう瞬間をゼリーのような固体と液体のあいだの不確かな状態で、しかしその不確かさでしか捉えられないという状態で、目の前に留めようとするものが多かった気がする。
(展覧会テキストより)

右手壁、手前から
 
1、ゼリーと羊羹 五月の草むら #2
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
2、ゼリーと羊羹 五月の草むら #3
2021
透明水彩、キャンバス
 
3、ゼリーと羊羹 五月の草むら #6
2021
透明水彩、キャンバス
 
4、ゼリーと羊羹 五月の草むら #7
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
5、ゼリーと羊羹 五月の草むら #4
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
6、ゼリーと羊羹 五月の草むら #5
2021
アクリル絵具、キャンバス
 
左手壁、奥から
 
7、ゼリーと羊羹 緑の庭 #2
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
8、ゼリーと羊羹 緑の庭 #3
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
9、ゼリーと羊羹 緑の庭 #1
2021
透明水彩、メディウム、キャンバス
 
中央床
 
10、境界線上の光( 2019年と2020年の5月のアトリエの木漏れ日 )
2019-2021
アトリエの前に捨ててあった廃材、LED、計測した光のデータ、電子回路、電池
 
左手壁
 
11、日常と永遠
2021
カーテン、カーテンレール、LED、計測した光のデータ(2021/05/02 8:58 )、電子回路、電池