ねじれの位置と、木漏れ陽
高校生の頃、数学の授業で空間上のねじれの位置に存在する直線同士はけっして交わらないと習った。女子技芸専門学校として建てられた建物がやがて文化資料館として使われる、古い土器とそれを包む新聞紙に書かれた記事、そこに一時的に置く自分の作品、他の作家の作品。それらはねじれの位置にある直線の図を思い起こさせる。だがもし、その図の斜め上方に光源を置いたとすれば、地面に落ちる影は重なりあうだろう。よく晴れた日に林の中を車で抜けるとフロントガラスで光と影が交差するように、それらは受容する私たちの中で静かに明滅するのではないだろうか。
(展覧会に寄せたテキストより)