くちなしとジャスミンのあいだに
個展タイトルと同名のインスタレーション作品は、作家が一年滞在したワルシャワで、ジャスミンの匂いが日本を出る頃に香っていたくちなしの匂いにとても似ていたこと、その花の匂いから想像するものは現地の知人たちとの間に差はあるが、しかしその違いを含みながらも何かを共有できた気がした、という経験をもとにしている。
作家自身が街中の香水屋をまわり、次から次へジャスミンの香水を、蜂のように集めていく映像、もう一点の映像では、ワルシャワの夜の街を歩いてネオンを写真に収め、それをコラージュのように切り貼りして綴られたテキストが夜の街に映し出されては消えていく。壁ではくちなしで染められた糸がゆっくりとまわりつづけ、 空間には映像の中で集められた香水が散布され、会場全体に匂いが漂う。